無題のお悔やみ

先日、祖父が89歳でこの世を去った。大往生といっていいと思う。最期は静かに息を引き取ったそうだ。

祖父のことは大好きだったから、畑の枝豆を一緒に掘ったりとか、家の前の川でザリガニ釣ったりとか、私が作ったウンコファイターズの話をまじめに聞いてくれたりとか、祖父が手作りした将棋盤と駒で将棋差したりとか、あと将棋はちょっと手加減してくれたりとか、そのすべてが楽しく鮮明に思い出されるけど、でも時間は確実に流れていて、私はもう喪服持ってないと不便なくらいには大人だし、祖父はぽっくり死んでしまうくらいには老人だった。ああ、ほんとうに死んでしまったんだなあ、おじいちゃん。おじいちゃん。

出棺のとき、遺影を抱えた母のくたびれた背中を見ながら、やっぱり肉体は老いたくないなあと思ったし、あとこういう話題はとくに最後だからといってとりあえずの「今までありがとう」とかいうのでまとめるのはなんとなく決まりが悪い。私としては。私としてはやはり言いたいことは言っておかなくてはいけない。うん。そうだ。

ねえおじいちゃん、最後まで聞けなかったんだけど、リンゴをすりおろしてご飯にかけて食べてたやつ、あれおいしかったの?

 

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