ほんとうにそう思うんですよ。だって、けっこう私の周りではラム肉が苦手な人が多くて、ラム肉が苦手って言われると、まあたしかに臭いし、しかたないねーと思うんだけど、でも、食べられないのはもったいないなあと思うわけ。だってだって、あの臭さがうまいじゃないのよ。
なんて、通ぶったことを言っているけれど、わたしがラム肉が好きになったのは、まちがいなく夫のおかげで、夫がジンギスカンが好きだからでございます。
今日の昼食。屋上にて。ウインナーは子供用。
結婚するまで、ジンギスカンに縁がない人生を送ってきた。1度だけ食べたことはあったけれど、それがあまりいい思い出ではなくて。というのも、中学校の修学旅行のお昼にりんどう湖ファミリー牧場でジンギスカンが出されたのだが、ジンギスカンないしラム肉なんて存在すら知らなかった私は初めて食べたもんだから「なんかふつうの肉と違うな。臭い気がするな。なんだろうな」と考えごとをしながら食べていたら、横にいた友達に「ねえなんで肉ばかり食べるの」と、あきらかに意地の悪い顔で言われて、男子も見てたし、まあ多感な時期なので、とても恥ずかしくなって、そこから箸が止まり、それ以来、食べてなかったのである。なんて気の毒な私。思春期の自尊心が「肉ばかりをたくさん食べる」というスティグマに晒されることの残酷さよ。
しかし、思春期から止まっていた私のジンギスカン時計は、北海道出身の夫のおかげで動き出した。彼は大学のときにジンギスカン屋でバイトをしていて、成長期の血や肉をジンギスカンで形成したようなジンギスカン人間なので、彼と結婚することによって、私の日常にも否応なくジンギスカンがやってきた。恥ずかしくて食べることをやめたあのジンギスカンは、あのとき感じたとおり臭く、でも目の前にはあのときと違って「たくさん食べなね」と言う人がいて、言われるままにたくさん食べてみると、その臭さがだんだん癖になってきて、いやもしかしてこれはかなり好きな食べ物なのではないか、と気がついたのである。ジンギスカンが苦手な人と結婚していたら、このなんともいえないやみつき感には気がつけなかっただろう。
だから、ジンギスカンが好きな人と結婚してほんとうによかった。そう思います。
この焼け野原のような状態が一番好き。こんな状態になっても夫婦でいることを誓います。今日は、7回目の結婚記念日だったのでした。