1人暮らしでも、家でおいしい魚が食べたい。
しかし、西友なんかのスーパーで買った魚はどうしてもまずい。
とはいえ築地やアメ横で魚を買って電車で帰る、というのはすこし鮮度が心配だったりする。
でも、あの生臭い氷の上に置かれた新鮮な魚は食べてみたい…。
そんなこんなで悶々としていたら、松戸の家から近いところに市場を発見した。
その名も「松戸南部市場」。さっそく行ってみることになった。
(結構ポップな感じ)
行ってみると、想像に反してポップなたたずまい。
聞けば、不動産運用会社いちごグループホールディングスの傘下で、
市場ができたのは2005年。なんだ、クソ新しいじゃねぇか。
(本当にクソ新しい)
こんなポップな感じなところに新鮮な魚が売っているとは到底思えない。
どう考えたってテーマパークだ。どう見ても金魚すくいとかある感じだ。
ここで楽しんだら、不動産運用会社の思うつぼになる気がする。
それはくやしいので、早朝から開いている朝ごはん定食をいただくことにした。
(すでに思うつぼ)
(カニクリームコロッケ定食 780円)
よくわからないけど10時前だというのに揚げ物を頼んでしまった。
しかも予想していたテーマパークごはんではなく、まさしく市場のおばちゃんのごはんなのだ。
とても人柄のいいおばちゃんと、やたらに山盛りの茶碗飯と、まずいお茶。
おいおい、わりといいじゃないか。
結構がっつりめの定食だが、個人的には大満足の朝ごはんになってしまった。
ということで、もう帰るか。
いや、市場来て揚げ物食って帰るというのもおかしい。
まあせっかく来たんだし(家から歩いて15分くらいだけど)
テーマパークの中くらい見ておいても損はないんじゃないの?とおもい
マグロ解体ショーのうわさを聞いて魚コーナーへ向かった。
(あ、ちゃんと魚屋だ)
(カジキさばいてます)
なんかもう、入った途端、生臭くて、雑多で、でかい声で集客していて、まさにこれぞ市場である。
いわゆる漁港の市場とは違う、アメ横に近い感じだ。
全然テーマパークなんかじゃない。疑ったりして悪かった。
まさかこんな近くにアメ横があったとは。
マグロの解体ショーは終わっていたが、感動のあまり、すでに買う態勢に入っている。
(これください)
市場のおっちゃんもすごくいい人だった。
ひっそりと脇にあった光り輝く大トロを指差して
「1500円分!」と言った生意気な若造に、怪訝な顔ひとつせずさばいてくれた。
おまけもいただいてしまったので、こちらも負けじとさらに甘エビを買ってしまった。
うーん、こうやって人は大人の階段を上るのだな。
さて、立派に食材も買い込んだし、今日は手巻き寿司だ!
(さあ、準備だ)
南部市場から帰宅し、食材を冷蔵庫に避難させ、再度スーパーへお買いもの。
手巻きずしとはいえ、食材が食材だし、いかなる妥協も許されない。
(ほれみろコノヤロー)
・大トロ・甘エビ・スズキ・きゅうり・たまご
非常にぜいたくだ。ぜいたくすぎて嗚咽が止まらない。
もっと具材をそろえるお家もあるだろうが、そんなことはどうでもいい。
私にとっては、誰が何と言おうとぜいたくなのだ。
(見よ、このしたたる脂を)
はっきりと言おう。
ここから先、写真を一枚も撮っていなかった。
つまりはそう、カメラを握る余裕もないくらいおいしかったのだ。
大トロは口にするたびに舌がうなり、甘エビはプルリとうまい。
うそみたいだ、こんなものがあんなところ(失礼)に売っているなんて。
正直言って舐めていた。
市場の魚がうまいいっても、少し鮮度は落ちてるだろうし、
きっと食べても「まぁこんなもんかな」と思う程度にとどまると思っていた。
しかし、それはいい意味で裏切られた。
このレベルの大トロだったら、回らないお寿司屋さんで食べると1貫800円以上はする。
それを今日私は何貫食べたのだろうか。
ああ、神がいるなら感謝したい。人間に「味わう」という行為を与えてくれたことを。
とまあ、写真も残っていないことだし、余計な講釈はもういいや。
とにかく私は南部市場にまた行く。毎週とは言わないが、行く。
「市場での買い物」に挑戦したことのない人も、ぜひ挑戦してほしい。
そして好きな魚を買って、思う存分食べるといい。
その1歩を踏み出せば、おいしい寿司や魚介というものは
1人暮らしでもわりと手に届くところにあるから。
(市場の近くで記念撮影。なぜここで撮ったのだろう)
<一部訂正>(20130226)
市場自体は1966年から存在しているようです。
幾度と経営転換を行い、今の形になったのが2005年だとか。
見た目と中身のギャップの謎が解けました。